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閑話05美女が村に来たけどどう話せばいいか分からない件

 

 

 

イメラと村人のお話、イメラが村に来た最初の頃

 

 

 

 

 

 

爽やかな風吹く夏の頃、村の外れで村の男たちが円になって座り込んでいた。

太陽の日差しある場所のはずだが、どこかその空間はジメジメとした陰鬱な空気が漂っている。ちょうど洗濯で通りかかったメアリーは眉をひそめる。

 

 

「ちょっとアンタたち、なにやってるのよ。暇なら畑仕事行ってきな」

「う、五月蝿い。俺たちそれどころじゃねえんだよ」

「いや待て。どうだ?メアリーに頼むってのは」

「うーん」

「だからなんなのよ」

 

 

メアリーを見て男たちは一様に慌てるが、すぐに喜びや不安に顔色を変える。怪しい男たちをメアリーはじと目で見る。よくよく見れば全員そわそわとしていて落ち着きもない。

そんな視線に耐えかねたのか男たちの1人が進み出て、意を決したように口を開く。

 

「メアリーさん!」

「さん?」

「イメラさんの好きなもの教えてください!」

「抜け駆けすんじゃねえよっ!メアリーさん!ほら、イメラの歓迎会してねえだろ?ってことで俺が色々頑張るから、ほら、イメラと取り持ってくれよ!」

「ほらほらうっせーんだよ!なにが取り持ってくれだ!それでメアリーさん。イメラちゃんの好みの男ってどんな男?」

「……あんたたちいい年して子供?」

「うっせえ!俺は本気だ!」

「俺も俺も!」

 

メアリーはくらっとする頭を抑える。洗濯籠を落としそうになった。どうやらこの男達は最近村に来た絶世の美女とお近づきになろうとこんな場所で輪になって会議をしていたらしい。おそらくなんの身にもならない会議だろう。お近づきになりたいのならさっさと話しに行けばいいものを。

 

「そ、そんなこと言ったって、ほら、どう話せばいいか」

「話したいこと話なさいよ」

「すっごい美人じゃんか。なんか焦っちまうんだよ」

「お前不細工だから自信ねえんだろ」

「お前こそ!」

 

一部で子供じみた喧嘩が始まったのを視界の端に収めながら、メアリーは話題の人物のことを考える。

初めてその姿を見たとき、村長じゃないけれど気絶しそうになった。失礼ではあるがその全身を見たあと、大口開けてしばらく見続けたものだ。それ程にまで浮世離れした絶世の美女で変わった雰囲気を持つ女性だった。同性でもあまりにも美人過ぎるためか話しかけ辛くあるのだ。男どもならば尚更だろう。けれどまあ話してみると彼女もこの男どもと同じく少し子供を思わせる部分が多々ある。無邪気というか怖いもの知らずというか……。

 

 

「イメラちゃん意外と話しやすい子よ。とりあえず挨拶からでもいいからなにか話しかけてみなさいよ。ランダーを見習いなさい。気軽に話しかけているでしょう?……あら?ランダーいるんじゃない。あんた達ランダーから話しかけるコツでも聞けば?」

「ランダーに聞いてもメアリーみたいに話しかけてみたら?とかしか言わねえんだよ」

「参考にならない。まず俺らは話しかけるにはどうすればいいか悩んでるのに」

「だから挨拶して適当に天気の話でもしてみればいいだろー」

「それが出来たら悩まない」

「あんな美人な子と普通に話せるお前らが凄い。ってか、話せるならお近づきになりたいとか思わねえの?お前もロイも……それにあとガルドとかヒューイとかぜんぜんイメラに興味持ってねえよな。なんで?」

 

 

話に上がった名前にドキリとする。

イメラが村に来た日は、ランダーを除いて全員外にアレをしに行ったメンバーだ。なにか関係あるのか、少し、勘ぐってしまう。他にも思い当たったのか、男たちが一瞬気まずそうに視線を逸らした。

そんな姿をランダーは苦笑して眺め、その視界に波打つ金髪を映した瞬間、笑った。

 

「おーい、イメラー!」

「あら、なあに?」

「お、おい!」

 

メアリーと同じように洗濯をしにきたのか洗濯籠を持って歩いていたイメラをランダーが呼ぶと、イメラは笑顔を浮かべ走りよってきた。男たちに動揺が走る。

 

「皆さんお揃いね」

「いやー実はさーこいつらイメラと仲良くしたいんだってー」

「え?」

「ち、違っ!いや、違わないけど」

 

畑仕事をして鍛えられた身体をもじもじさせながら頬を赤くして俯く男たちを見てメアリーはうっと後退する。指をあわせる仕草は可愛いどころか気持ち悪い。しかしイメラはランダーの言葉に驚いて目をぱちくりさせたあと、嬉しそうに笑う。

 

 

「本当!?嬉しいわっ!私イメラって言うの!これからよろしくお願いねっ!」

 

 

両手を合わせて喜ぶ姿に男達は顔を更に赤らめながらも嬉しそうにだらしなく口元を緩め一人ひとりイメラに話しかけていく。メアリーは呆れながらも微笑ましい光景に、皆と一緒に笑った。

視界の端に映った、ランダーがやりきれないように視線を落とし嗤った顔は、見なかったことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

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